第8章 OmegaT ファイルとフォルダー

1. 翻訳プロジェクトファイル
1.1. トップ フォルダー
1.2. dictionary フォルダー
1.3. glossary フォルダー
1.4. omegat フォルダー
1.5. source フォルダー
1.6. target フォルダー
2. 個人設定ファイル
3. プログラムファイル

OmegaT は大きく分けて3種類のファイルを扱います。

1. 翻訳プロジェクトファイル

OmegaT の翻訳プロジェクトは、複数のファイルとフォルダーから構成されています。

翻訳プロジェクトを作成すると、OmegaT は指定された名前のフォルダーを自動作成し、さらにその配下にいくつかのフォルダーを作成します:

図8.1 OmegaT プロジェクト

OmegaT プロジェクト

フォルダーの中には、プロジェクト作成時や翻訳作業の途中で、デフォルトから別の場所に変更できるものもあります。変更先のフォルダーは、各自のワークフローとプロジェクト管理習慣に応じて、既存の場所を指定したり、新規作成したりできます。プロジェクト作成後に場所を変更するときは、メニューから[プロジェクト]→[プロジェクト設定...] を選ぶか、ショートカット[Ctrl+E]で設定ダイアログを開き、必要な変更を行ってください。

OmegaT 以外のファイルマネージャーで見ると、翻訳プロジェクトは他のフォルダーと特に区別無く表示されます。下の図は OmegaT での表示例ですが、マイ プロジェクトフォルダーに3つの OmegaT プロジェクトが含まれていることが分かります。

図8.2 OmegaT プロジェクトと通常のフォルダー

OmegaT プロジェクトと通常のフォルダー


OmegaT アイコンをダブルクリックすると、プロジェクトが開きます。新規プロジェクトをデフォルトの設定で作成した場合、以下の構成で新しいフォルダー群が作成されます。

1.1. トップ フォルダー

トップ フォルダーには、必ず OmegaT.Project ファイルが存在します。このファイルには、プロジェクトの設定ウィンドウ([プロジェクト]→[プロジェクトの設定...])で設定された値が保存されています。翻訳作業を開始すると、このフォルダーにいくつかのファイル(プロジェクト名-omegat.tmxプロジェクト名-level1.tmxプロジェクト名-level2.tmx)が作成され、翻訳作業のあいだ絶えず更新されていきます。これらのファイルには、将来のプロジェクトで再利用できるように、まったく同じ翻訳メモリの同一の内容が、それぞれ異なる形式で記録されます。

1.2. dictionary フォルダー

このフォルダーは、最初は空の状態です。プロジェクトに辞書を追加する際、辞書ファイルの置き場所になります。詳しくは辞書の章を参照してください。

1.3. glossary フォルダー

このフォルダーは、最初は空の状態です。プロジェクトで使用する用語集ファイルの置き場所になります。詳しくは用語集の章を参照してください。

1.4. omegat フォルダー

omegat フォルダーには最低でも1つ、場合によってはそれ以上のファイルが存在します。ここで最も重要なのは、project_save.tmx でしょう。このファイルこそ、プロジェクトの作業用翻訳メモリになります。このファイルのバックアップ ファイル(拡張子が .bak)が、定期的に追加されていきます。保存されるタイミングは、翻訳作業の開始時、終了時、そして作業中など、随時です。これにより、データはどこへ消えた?という事態を未然に防ぐことができます。詳しくはその他の章に収録されている『データを失わないために』を参照してください。

他にも、翻訳作業中に必要に応じて以下のファイルが作成される場合があります。

stats.txt 現在のプロジェクトの翻訳状況が記録されます。メニューの[ツール]→[翻訳状況]から参照できます。
ignored_words.txt. learned_words.txt 綴り確認機能によって作成・使用されます。綴り確認機能に無視してほしい、あるいは学習させたい単語があれば、omegat フォルダーの対応する2ファイルに入力しておきます。
project_stats_match.txt 現在のプロジェクトの参考訳文の一致率が記録されます。メニューの[ツール]→[参考訳文の一致率]を選ぶと、作成されます。
segmentation.conf このファイルが存在する場合は、[プロジェクト]→[プロジェクトの設定...]で設定されたプロジェクト専用の分節化規則が含まれています。詳しくはプロジェクトの設定の章を参照してください。
filters.xml このファイルが存在する場合は、[プロジェクト]→[プロジェクトの設定...]で設定されたプロジェクト専用のファイルフィルターが含まれています。詳しくはプロジェクトの設定の章を参照してください。

1.5. source フォルダー

source フォルダーには、翻訳したいファイルを置きます。ファイルは、後からでも追加できます。source フォルダー内部の階層構造をどうするかについては、完全にユーザーに任されています。翻訳したいファイルが(ウェブサイトのような)あるツリー構造の一部に入っている場合は、そのツリーの最上位のフォルダーを指定してください。そうすると OmegaT はツリー構造を保ったまま、全体を source フォルダーにコピーします。

1.6. target フォルダー

このフォルダーは、最初は空の状態です。メニュープロジェクト訳文ファイルを生成 (Ctrl+D)を選ぶと、この場所に訳文ファイルが生成されます。source フォルダーの中のファイルは、翻訳対象かどうかを問わずすべて生成されます。またフォルダーの階層構造もそのまま再現されます。生成されるファイルは、その時点の翻訳作業の進行状況を反映した内容になります。つまり、/omegat/project_save.tmx に保存された翻訳メモリの内容が反映されます。未翻訳分節は、原文のままです。

2. 個人設定ファイル

個人設定ファイルには、ユーザー固有の情報が格納されています。これはすべてのプロジェクト共通で使用されます。

logs/OmegaT.log OmegaT 実行中の Java エラーメッセージが記録されます。もし OmegaT の動作がおかしいと思ったら、バグ報告の際に、このファイル自体または関連する箇所を抜き出して含めると、大いに役立ちます。
script/ スクリプト プラグインをインストールした場合は、このフォルダーにスクリプト ファイルを置きます。
filters.xml ユーザー デフォルトのファイルフィルターです。
omegat.prefs OmegaT の設定ファイルです。
segmentation.conf ユーザー デフォルトの分節化規則です。
uiLayout.xml GUI に関する情報(ウィンドウのレイアウト)が記録された XML ファイルです。

デフォルトの分節化規則とファイルフィルターよりも、プロジェクト専用の設定(前述)が存在した場合は、そちらが優先されます。個人設定ファイルの場所は、使用するプラットフォームによって異なります:

Windows 2000 および Windows XP Documents and Settings\<User Name>\Application Data\OmegaT
Windows Vista および Windows 7 Users\<User Name>\AppData\Roaming\OmegaT
上記以外の Windows <Something>\OmegaT(<Something> は Java が認識する「home」フォルダーの場所です)
Linux/Solaris/FreeBSD <ユーザーホームフォルダー>/.omegat(.omegat はフォルダーで、先頭にドットがあるため、ls -a やそれに準じるコマンドでなければ一覧表示されません)
MAC OS X <ユーザーホームフォルダー>/Library/Preferences/OmegaT
その他 <ユーザーホームフォルダー>

3. プログラムファイル

OmegaT は SourceForge サイトからダウンロードできるパッケージファイルとして提供されます。ここでは、標準的な Java 形式のプログラムを含んだプラットフォーム非依存のパッケージについて説明します。他のパッケージとしては、Linux 版の .tar パッケージ、Windows 版インストーラー(Java 実行環境ありまたはなし)、Mac OS X 版インストーラー、開発者向けソースコードなどがあります。

プラットフォーム非依存パッケージは、Java 実行環境(JRE)バージョン 1.6 が動くプラットフォームであれば、どこでも使用できます。そのプラットフォーム専用のパッケージがインストール済みの場合でも、共存できます。プラットフォーム非依存パッケージは圧縮ファイル(zip または TAR アーカイブ)で提供されているため、インストール先に選んだフォルダーに解凍する必要があります。たいていはダウンロードしたパッケージファイルをダブルクリックすれば、解凍できます。圧縮ファイルを解凍すると、以下の内容を含むフォルダーが生成されます:

ファイル/ フォルダー 内容
docs/ 取扱説明書の全ファイルを格納します。取扱説明書に含まれる外部リンクへアクセスする場合は、これらのファイルをウェブブラウザーで開いてください。
images/ アイコンとロゴ画像を格納します。
lib/ OmegaT を利用するために必要な Java のファイルを格納します。
join.html 通常の HTML ファイルです。ウェブブラウザーで開くと、Yahoo! の OmegaT ユーザーグループへリダイレクトされます。参加は必須ではありませんが、もし参加すれば、OmegaT に関するディスカッションに加われるほか、別途準備されたファイルの入手や、不定期に行われる調査などに参加することが可能になります。過去ログは公開されており、閲覧するだけなら参加登録は必要ありません。
changes.txt 過去のバージョンから現在のバージョンまでの変更点の詳細が記されています。
license.txt GNU GENERAL PUBLIC LICENSE(GNU 一般公衆利用許諾契約書)です。このライセンスにより、改変や再配布を含めた OmegaT の自由な利用が認められています。OmegaT の改変や再配布に興味がある場合は、それを実行する前にこの文書を慎重に読み、内容をよく理解しておいてください。不明点がある場合は、SourceForge サイト経由でメールを送るか、またはユーザーグループへ投稿して、プロジェクトのメンバーに問い合わせてください。
doc-license.txt GNU GENERAL PUBLIC LICENSE(GNU 一般公衆利用許諾契約書)です。こちらは、取扱説明書に関するライセンスとなります。注意点は、上と同じです。
readme.txt このファイルは、大変重要なファイルです。OmegaT を使用する前に必ず読み、内容を理解しておいてください。このファイルには、追加情報の入手先や、貢献方法など、OmegaT に関する全般的な内容が含まれています。このファイルは多くの言語に翻訳されています。
OmegaT

以下の 2 行からなるテキストファイルです:

#!/bin/bash java
java -jar OmegaT.jar $*

Linux および Mac OS X のユーザーでしたら、役に立つことでしょう。OmegaT のプログラムフォルダーに移動してから、このファイルにコマンドラインで実行権限をつけてください(chmod +x OmegaT)。このファイルをコマンドラインから実行することで、OmegaT を起動できます。

OmegaT.bat

Windows の コマンドライン(コマンドプロンプト)から OmegaT を実行する際に使用するバッチファイルです。内容は以下の行のみです:

java -jar OmegaT.jar %*
OmegaT.jar 主要な OmegaT のプログラムファイルです。OmegaT を起動するには、このファイルをコマンドライン上から実行するか、ファイルマネージャー上から(多くの場合そのアイコンをダブルクリックすることで)実行します。